店舗デザインのベーシック・内外装デザインの主な役割は集客

店舗デザインの基本について解説している記事です。店舗デザインは、どんな業種でも、店舗を始めるならば集客に直結するのでとても重要です。

どんな業種の店舗であっても、出店する際はデザインについて、内装業者やデザイナーなどと相談するのが一般的です。店舗デザインには、その店のコンセプトを表現して顧客を呼び込むために行いますが、このデザインがまったく狙っている顧客層が好むものからは外れてしまっている店が多いことも確かです。この記事では、店舗デザインの基本について解説しています。これから何らかの店舗を開こうと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

ヨーロッパで生まれた店舗デザインの考え方

店舗デザインは、比較的新しい考え方です。19世紀後半にイギリスで生まれたといわれています。当時、イギリスでは産業革命に逆行するような「アーツ・アンド・クラフツ運動」が起こっており、その流れは20世紀前半に誕生したドイツの「バウハウス」へとつながります。このバウハウスは、まさに現代デザインの礎ともいわれています。バウハウスは、すべてのデザインは建築から始まるという考えを持っており、この考え方はまさに店舗デザインといえるでしょう。

日本に店舗デザインという考え方が根付いたのは戦後の1960年代のこと。この頃は、著名な日本人インテリアデザイナーが、公共施設などの内装デザインをこぞって行っていた時期であり、まさに日本の店舗デザインが花開いた時期だといえるでしょう。それ以降、店舗デザインは、日本の各業界において欠かせないものとなっています。

もしも店舗デザインという考え方がなかったら、店舗は「おもしろくない場所」に違いありません。商品やサービス、料理は、それ相応の雰囲気の中で提供されるからこそ、魅力的に見えるのです。

そういう意味では、19世紀後半になってようやく店舗デザインという考え方が出てきたということは驚きですが、産業革命により多くの製品が大量生産になり、職人技やデザインの良さが消えかかってしまったからこそ、このような考え方が生まれたのかもしれませんね。

店舗デザインの基本

店舗デザインは、一般的には店舗のオーナーが考えている雰囲気を実現するために内装や什器の配置などを図面化し、その図面を基に内装工事をすることです。

デザイナーが図面を引く作業に関しても店舗デザインとされることがありますが、デザインから内装工事の完了までを店舗デザインとするのが業界では通例になっています。

では、その店舗デザインは何を目的に行われているのでしょうか?

店舗デザインがもたらす効果

店舗をオープンさせる以上、お客さんが来てくれなければ商売になりません。店舗デザインの最も重要な役割は、集客することです。店舗を、想定する顧客層が好むデザインにすることで顧客を集められれば、売上も上がります。

ただ、店舗デザインの前にやるべきこともあります。店舗のコンセプトやターゲットとする顧客をしっかり設定することです。これには、出店場所なども関わってくるためなかなか難しいのですが、これらをしっかり設定しなければ、店舗デザインはできません。店舗をオープンさせる前に、ターゲットとする顧客を想定して、顧客にとって入ってみたい、居心地のいい店とはどんなものなのか、しっかり考える必要があります。

店舗デザインには、オーナーの好みも反映できますが、それだけになってしまっては意味がありません。見た目はもちろん重要ですが、顧客の動線、スタッフの動線などが考えられていないと、誰にとっても居心地の悪い店になってしまいます。

店舗デザインは、ただ店の内装をデザインすることではありません。出店を予定する地域を詳細に分析して、可能性の高いターゲット層を見極め、彼らにとってどんな店が理想的なのかを考え、店舗デザインに落とし込んでいくことが大切です。

店舗デザインは色使いが大切

色には人間の心理に影響する力があります。この力をデザインに使わない手はありません。店舗デザインは、色の明度や彩度を考えて行うことが望ましいとされています。店舗デザインでは、明度と彩度が近い色を組み合わせて使うのがベーシックです。明度と彩度があまりにも離れた色を使ってしまうとデザインに統一感がなくなり、何か居心地の悪い空間になってしまいます。

飲食店では、ほとんどの場合、暖色系の内装が好まれます。暖色系の色には「元気さ」があり、食欲をそそります。寒色系の色は逆の効果を生むため、あまり飲食店では好まれませんが、「スタイリッシュさ」が欲しいアパレルの店舗では、寒色系の色が好まれるでしょう。

色使いが店舗にもたらす効果はこれだけではありません。色使いだけで店舗を広く見せたり、逆にせまく見せたりすることだってできるのです。

白は膨張色と呼ばれ、スペースを広く見せられる色です。限られたスペースの店だけれども、なるべく開放的に見せたいという場合は、白を基調とした内装にすると効果があります。黒には収縮効果があります。言ってみれば、スペースをせまく見せられる色です。せまく見せられるというよりも、ここではシャープに見せられるとしたほうがいいかもしれません。黒系の色はスペースに重厚感を加えられる色でもあります。

このように、色の特徴を考えて店舗デザインをすると、顧客にとって心地よい店作りができるでしょう。

店舗デザインを請け負っている業者とは?

では、店舗デザインはどんな業者に依頼すればいいのでしょうか?実は、店舗デザインから内装工事まで、すべてをひとつの業者が請け負うケースはそれほど多くはありません。かんたんな内装工事であれば、「あなたの街の職人さん」的な業者でもできますが、このような職人さんの場合は、しっかりした図面を作って作業するというよりは、施主のリクエストを聞いて、可能な限りそのリクエストをかなえようとするスタイルのデザインになります。そのため、店舗デザインを熟知しているとは言いがたく、後々、不満を感じてしまう可能性があります。

本格的に店舗デザインをするのであれば、少しお金はかかりますが、デザイン専門の設計事務所にまずデザインを依頼し、その図面どおりに施工してくれる業者を紹介してもらうといいでしょう。もちろん、紹介ではなく自力で内装工事業者を探してもOKです。

専門性が高い店舗デザイン

店舗デザインは、実はとても専門性が高いため、デザインや内装工事を依頼する際は、その業者に専門性が備わっているか、しっかりチェックしなければなりません。オフィスの内装デザインばかりやっている業者に飲食店の内装デザインを依頼すると、何らかの不備が出てくる可能性があります。飲食店では、使用する厨房機器によっては、特殊な工事をしなければならないことがあるので注意が必要です。店舗デザインを依頼する際は、出店する店舗と同業の店の施工実績が豊富かどうか、必ず確認しておきましょう。

店を開くなら店舗デザインは必須です

店舗デザインの基本についてお話ししてきました。業種を問わず、店を開くなら店舗デザインは必須です。店舗デザインは、ターゲットとなる顧客を想定し、店舗のコンセプトをデザインに落とし込むことで行います。あなたがオープンする店舗に、ターゲットとなる顧客を引きつけるには、ターゲットのニーズを理解することが重要です。ライバル店舗よりもあなたの店に来たいと顧客に思ってもらえれば、店舗デザインは大成功だといえるのではないでしょうか。